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2005年07月21日

SだけでなくRもあるって知ってました?

 報告書を見ると、よく遺構の名称がこんな表記になっていませんか?

                    SD4750 溝

 そう、遺構を示す記号としてSではじまる記号が使われることがあります。私達は遺構記号と呼んでいます。調査機関によって、色々なバリエーションがあると思いますが、元祖の定義はこんな感じ。

SA柵・土塁・塀 SB建物 SC廊 SD溝 SE井戸 SG苑池 SH広場 SK土坑(*) SXその他
  *SKは原典では「土壙」になっています。

 ちなみに、当所では器種分類も「その他」をXにする癖があります。SXだから同じ性格の遺構だあ、ってことにはなりませんので、ちょっと注意が必要です。

 でも、これって、何でいちいちそんな記号を使っているんだろう、って思いません?
 溝1とか、建物3とかの方が、わかりやすいですよね。

 実は、これ、コンピュータが調査に導入される以前の情報処理の為の記号化なんです。
 1960年代、発掘された遺構や遺物の情報化と体系化を進めるため、ハンドソートパンチカードシステムを導入しました。扱える情報はアルファベットと数字だけ。今で言うところの出土品データベースですね。
 当時購入されたパンチカードは、遺物の実測図を保管する台紙として転用され、90年代まで生き残っていました(^^)。今は在庫がなくなったので、パンチ穴なしの台紙に変わっています。

 ところが、この記号はパーソナルコンピュータ(はじめはマイコンとか言ってましたね)が登場してからも、1バイト文字(英数)のみ使用が可能であったために使用が継続されました。今は2バイト文字(日本語等)が自由に使える状態になっていますが、既に定着していることと、並べ替えに便利なことから今後も使用は継続されていくことでしょう。

 でも、この記号、宮都ならいいけれど、他の対象には使いにくいですよね・・・。

 さて、この記号、実は遺物を示すものもありました。頭の記号は「R」

RL漆器 RM金属器 RN自然遺物 RP土製品 RQ石製品 RT瓦 RU繊維製品 RW木製品 RYその他

 ところが、このR記号は、早々に廃れることとなります。莫大な出土品に番号をふる、ということはなかなか難しいものです。RPとかRTなんて、出る時には数千単位ででますから、これらに数字を振ろうっていうだけでも、すごい作業量になります。この結果、R記号はそれぞれの対象に応じて使用方法がアレンジされ、「R番号」として遺物の管理に現在も使用されています。例えば、土器ですと、特殊な土器や土製品等の登録番号としてその名残をみることができます。

 ちなみに土器の器種分類の「坏H」なんていう表記も、その名残なんですよね。

 さて、蛇足ですが、これらの記号の決め方は、できるだけ個々の遺構・遺物の名称に近づけようと努力しています。そもそも「S」はSiteのS(厳密には遺構を指しているんですが)、「R」はRelicのRのことですし、「SC」はCorridorの頭文字のC、SDはDitchのD、RPはPotteryのP、RTはTileのT・・・。
 もちろん、全てがそうではないようですが、これは何の略号だろうか?と考えてみるのも面白いかと思います。

投稿者 あかねだ : 2005年07月21日 18:20